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”刃物あれこれ”
刃物あれこれ(3)〜刃物屋の研ぎ直しは必要?(17/10/20)
カテゴリー名:”刃物あれこれ”

と、聞かれることがあります。
私の答えは「Yesでもあり、Noでもある」です。
そもそもなぜ包丁で物が切れるんでしょうか。
実は包丁の刃は非常に細かいノコギリのようになっています。
食材を切っているうちにノコギリの刃が削れて丸くなった状態を「切れ味が落ちた」と言っています。
ノコギリの刃を付け直すのに使用するのが砥石です。
最近では包丁をあてて動かすだけで研げる手軽なシャープナーもありますね。
これでもノコギリのような刃は付け直せるので十分切れるようになります。
「茶碗の裏に刃をあてると切れ味が戻る」と聞いたことがある方もいるかと思いますが、シャープナーはこれと同じ原理です。
では、シャープナーや砥石があれば刃物屋の研ぎは必要ない?
いいえ、実はそうではありません。
シャープナーや家庭用砥石にも弱点があります。
シャープナーも家庭用の砥石も刃の先を研いでいます。
しかし包丁は刃の背中側にいくにつれて厚くなっているので、先だけを研いでいるとだんだんと刃が厚くなっていってしまいます。※
そうなると、いくら刃先を研いでも鋭い刃にはならず、切れ味が落ちるのが早くなっていきます。
ここで、いよいよ刃物屋さんの出番です!
刃物屋にある巨大な砥石を使えば、厚くなってしまった包丁の刃全体を薄くすることができるのです。
つまり、日常的なお手入れはご家庭の砥石やシャープナーで十分ですが、もし研いでも切れ味がすぐ落ちるなと感じたら刃物屋さんにお任せください。
正しく手入れをして長く包丁を使っていただくことが我々の喜びでもあります。
ほとんどの刃物屋さんが自社製品以外の包丁の研ぎも受け付けているので、お気軽にお持ちくださいね^^
※和包丁は洋包丁と違い、刃の角度・厚みを一定に保つように研ぎます。なので、厳密に言えば「刃が厚くなる」のは洋包丁に限った特徴でもあります。
(芦刃物 ホリバ)
2017/10/20 Comments(9) | Trackback(0)
刃物あれこれ(2)〜包丁の天敵は…(17/08/08)
カテゴリー名:”刃物あれこれ”

包丁を洗う際に絶対にやってはいけないことがあります。
それは、「食洗機を使うこと」です。
包丁の柄の内部は乾きにくいので、食洗機のように包丁を丸ごと水に浸してしまうと、乾燥させたつもりでも内部では水分が残ったままになります。
そこから錆が発生して少しずつ腐食されていってしまうんです。
これは錆びにくいといわれているステンレス製の包丁でも起きてしまいます。
柄に隙間ができていたら、中で錆びているサインかもしれません!
はじめは小さな錆でも、放置していると腐食が進み、金属の内側がボロボロになって額縁のようになってしまうということもあります…。
木の部分であればいくらでも交換できますが、中身がダメになってしまうとどうしようもありません。
そうならないためにも、包丁を洗うときは食洗機を使わずに刃の部分だけを洗ってくださいね。
芦刃物の包丁は柄さえ残っていれば刃がなくなるまでお使いいただけます。
皆さんのご家庭で末永く芦刃物の包丁が活躍してくれること、それが我々の願いです。
ちなみに写真のような状態であればまだ修理できますので、不安であれば手遅れになる前に一度お持ちになってくださいね^^
(芦刃物 ホリバ)
2017/08/08 Comments(2) | Trackback(0)
刃物あれこれ(1) 〜「おしゃかになる」 (08/04/09)
カテゴリー名:”刃物あれこれ”

昨日4月8日はお釈迦様の誕生日。堺の西本願寺境内にも沢山の花と象に乗ったお釈迦様、花御堂と釈迦誕生仏像が祭られていました。
この行事は「灌仏会(かんぶつえ)」などと呼ばれていますが、表題の「おしゃかになる」という表現はこの灌仏会と、さらに鍛冶職人に因むということなんです。
失敗して物をダメにする事を「おしゃかになる」といいますが、これは江戸の鍛冶職人の隠語として、あぶり過ぎて鈍ってダメにしてしまった刃物や金物に対して、江戸っ子訛りで「しがつよかった(火が強かった)」=「四月八日だ」=釈迦の誕生日、というつながりで成立したといことなんですね〜〜〜。んん〜勉強になりました。(芦刃物高田)
photo: 堺西本願寺境内灌仏会の様子
2008/04/09 Comments(8600) | Trackback(0)