「堺刃物」の伝統を継承。包丁・ナイフ・篆刻刀・各種刃物の製造販売


更新情報やスタッフからのメッセージをお届けします。

”芦刃物あれこれ”

今年も堺刃物まつりが無事に終わりました(2018/04/23)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


ありがたいことに2日間とも晴天に恵まれ、会場のまわりでは外で腰を掛けながら屋台のたこ焼きを食べる来場者の方々の和やかな様子がとても印象的でした。


我々は今年もハサミの修理コーナーのお手伝いをさせてもらい、2日間でおよそ150名近くの方がハサミを持ってこられました。

裁ちばさみや刈り込みばさみ、キッチンばさみに糸切はさみと、皆さん様々なハサミを持ってこられます。

それらを一つずつ分解し、研いで、磨いて、もう一度組み直した後、刃のかみ合わせを調節してからお返しします。

はさみの研ぎ直しは包丁とはまったく違う工程です。



今回多くの方がハサミを持ってこられた中で、「母の形見のはさみの切れ味が落ちてきて困っていた。研ぎ直してもらって少しでも長く使いたいんです。」とお話しされていた方がいました。

2日間の刃物まつりで約200丁ほどのはさみの研ぎ直しをしましたが、きっとその1丁1丁に刻まれた思い出があり、歴史があるのだと考えると、身が引き締まる思いでした。



道具を修理するという仕事はただそのものを使えるようにするというだけではなく、その使い手の歴史を未来へつなぐ仕事ともいえるのかもしれません。



使い手の歴史の一翼を担えるようなものづくりを続けていきたい、と改めて実感できる貴重な時間を過ごすことができました。



堺刃物まつりは今後も引き続き4月開催だそうです。

もし今回来られなかったという方は是非来年お越しくださいね^^





2018/04/23  Comments(40) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(13)〜LOGナイフの製作工程 その3(17/12/09)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


前回、コーティングの液にLOGナイフの柄を漬け込むところまで紹介しました。

次の工程はズバリ、「乾かす」 です!

当然ですね笑


コーティング液が浸透したLOGナイフを取り出したら、その名も「LOGナイフ乾かし機」(段ボールを重ねただけですが…)にブスリブスリと突き刺します。


そして、晴れている日には会社の屋上で乾かします。

普段は室内で作業をしているので外の天気は気にしませんが、この時ばかりは頭上に広がる青空を目の当たりにすると「のんびりと本を読んで待ちたい!」という衝動にかられます…笑


柄を乾かしたあとは刃を研いで、LOGのロゴマークを入れたらついに完成です!


今回紹介しきれなかった細かい作業はまだまだあるのですが、LOGナイフが出来上がる様子を少しでも感じてもらえたでしょうか^^


LOGナイフは販売を始めてから30年が経ちました。

そして私がLOGナイフの製作に携わるようになって3年が経っています。


その間も、どうしたら良い商品になるか日々考えながら製作工程の見直しをしてきました。

まだまだ改善の余地はありますし、もっともっと長く愛されるような商品にしていきたいと思っています。


まだ実物を見たことがないという方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

そして、気になる点があればなんでもご意見お待ちしております。


LOGナイフの進化はまだまだ止まりません!!


(芦刃物 ホリバ)






2017/12/09  Comments(9) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(12)〜LOGナイフの製作工程 その2(17/12/07)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


刃を取り付けられたLOGナイフは、木の節やリベットのデコボコが滑らかになるまでサンドペーパーで磨きます。

何度も何度も磨きます。

文字で書くとそれだけのことですが、サンドペーパーで磨く作業は目の細かさを変えながら同じことを何度も繰り返すので地味極まりない上に結構手間がかかります。


ただし、ここで丁寧に磨けば磨くほど見た目の仕上がりにかなり大きな差が出てくるんです。

どんなことでもそうですが、一見地味な努力が一番大事なんですよね。


そしてコーティングの液に漬け込み、木の内部に浸透するまでひたすら待ちます。

このコーティングによって、天然木でありながら水にも強く長持ちする柄になるのです。


ここまできたら完成まであと一息!


乞うご期待!


(芦刃物 ホリバ)





2017/12/07  Comments(0) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(11)〜LOGナイフの製作工程 その1(17/12/06)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


LOGナイフの柄は「割り込み」という方法で作られます。

簡単に言えば、柄に溝を掘って刃をはめ込むという方法です。


刃をはめ込んだ後は、穴をあけ、リベットという金具で固定します。

この作業以降は「失敗=初めからやり直し」になってしまいます。

もうここからずっと緊張です。

一点ものなので、「この木の形おもしろい!」と思ったらなおさら緊張します…笑

ガッチリ固定してしまうので、失敗したら泣く泣く木を割るしかありません。


わが子を育てる気持ちで、大事に大事に、作っていきます。

だからこそ愛着がわいてしまって、誰かの手に渡るときは娘が嫁に行くかのような、うれしさと寂しさの入り混じった不思議な感情が湧き上がってくるのです。

ちなみに私は子供もいなければ、結婚もしていませんが…笑


少し大げさに書きましたが、いろいろな表情を見せてくれる木をLOGナイフにしていくこと、そしてお客様に自分のお気に入りのLOGナイフを見つけてもらえることが一番うれしいのです。


− 続く −


(芦刃物 ホリバ)





2017/12/06  Comments(0) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(10)〜砥石の交換(17/10/26)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


いくら大きなものを使おうと、砥石は消耗品です。


包丁の研ぎ工程に使用している砥石に限界が来たので交換を行いました。

直径1m近くにもなるこの砥石ですが、包丁を研いでいると少しずつ減っていきます。

芦刃物の場合、その寿命はおよそ3年。

役目を終えた砥石は外され、新しい砥石に付け替えられます。


付け替えるといっても重さ何十キロにもなる砥石を付け替えるのは簡単なことではありません。

と同時に、3年間で積もった「削りカス」の掃除もしなければいけません。

その量、実にドラム缶2杯分!!


砥石を外し、掃除をして、機械が錆びないように塗装を塗り直し、新しい砥石を取り付けます。

3人がかりで丸一日かけて行う作業です。


積もり積もった3年間の歴史をかみしめ、研いでいる途中で落としてしまった包丁との再会を懐かしみ、そしてこれからの3年間に思いを馳せるのです…。

というのは少し大袈裟ですが。笑


新たな砥石で心機一転、今日も芦刃物製作所はフル回転で動いております!

ただ、新しくした砥石はしばらくの間“暴れる”ので、それを落ち着かせるのが一番大変だったりします…笑


(芦刃物 ホリバ)





2017/10/26  Comments(18) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(9)〜学生さんがやってきた!(17/07/26)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


毎年、この時期になると堺工科高校の生徒がインターンシップとして包丁を作りにやって来ます。

芦刃物製作所の平均年齢がぐっと下がる日です。笑

堺工科高校は社長の母校ということもあり、長い長いお付き合いをさせてもらっているんです。


工科高校という名の通り、普通の高校とは一風変わったところがあって、堺工科高校では毎年12月になると日本古来の製鉄技術「たたら製鉄」を行っています。

これは砂鉄を火の中に入れ、不純物を取り除きながら鉄の塊に精製するという日本に古くから伝わる製鉄方法です。

今では行われなくなったこの「たたら製鉄」を堺工科高校では再現しているのです。

鉄を取り出すのに要する時間は実に16時間!!!

「たたら製鉄」が主流だった時代の製法ではなんと70時間近く絶え間なく作業をしていたそうです。

先人の努力には頭が上がりませんね。


残念ながら堺工科高校のたたら製鉄は昨年で終わってしまいましたが、彼らのものづくりに対する真剣な姿勢は今回のインターンシップにも表れていました。

自分たちでどんな形にするか考え、材料を切って、研いで、柄を付けるところまで試行錯誤しながら楽しんで作業していました。

毎年、彼らは自分が作った包丁を手に、誇らしげに帰っていきます。


インターンだろうと、仕事だろうと、ものづくりに対する作り手の想いにきっと違いはありません。

今回の機会を通して、「自分の考えを形にする楽しさ」と「楽しいことを仕事にできる喜び」を少しでも感じてもらえていたらいいな〜と思っております。

また来年やってくる新しい刺激を楽しみに、日々ものづくりに向き合っていきたいですね。


(芦刃物 ホリバ)




2017/07/26  Comments(7) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(8)〜アメリカからの訪問客 (17/04/19)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


いまからおよそ10年前、包丁の勉強をするために芦刃物製作所へやってきたアメリカ人がいました。

彼の名前はShehan Prull(シハン・プルール)。

彼は非常に勉強熱心でわずか1年半ほどで包丁の作り方を覚え、独学で日本語を話せるようになっていました。


先日、そのシハンが5年ぶりに日本を訪れてくれました。

彼は幼いころから鍛鉄(鉄を叩いてアート作品や看板を作る技術)を学んでいたので、その仕事の丁寧さと技術の高さは逆に私たちが勉強させてもらうほどです。

今回の来日でも堺の知り合いに看板の製作を頼まれて、その製作をするために毎日のように芦刃物へ来てくれました。

せっかく日本に来たのだから観光でもすればいいのに…とも思いましたが、そこが彼のいいところなのです。笑


「最近、アメリカに新しい工房を構えて包丁を製作しています」と希望に満ちた笑顔で彼は話してくれました。

彼の住むサンタフェという町は多くのアーティストが在住しており、街のいたる所にアート作品が置かれている地域でもあるらしいのです。

近いうちに芦刃物の海外出張レポートが書けたらなぁ…なんて勝手に妄想しております。


ありがたいことにお客様、取引先様を問わず芦刃物では多くの海外の方と交流をさせていただいています。

世界の広さを実感するとともに、日本の包丁が海外でも認められているという現状に慢心せず、責任感を持って仕事に取り組まなければということをシハンが改めて教えてくれたような気がします。


彼の作品は芦刃物製作所や堺伝統産業会館などに展示されているので、もしよかったらご覧ください。


【Shi.han Fine Knives】
http://www.shihanfineknives.com/



(芦刃物 ホリバ)




2017/04/19  Comments(29) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(7)〜技術 × テクノロジー (17/03/13)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


先日、芦刃物製作所は「匠の技術承継事業」というプログラムに参加しました。 

これは熟練の職人の動きをデータ化して、後継者育成に役立てようという試みです。

今回、芦刃物では入社1年目から職人歴50年を超える熟練者まで5人の職人が、最新の機器を身に着けて包丁を研ぐ際の姿勢や体の動かし方、目線などを計測しました。


職人の仕事というと「背中を見て覚えろ」というイメージがあるかもしれません。

かつては私もその覚悟でこの世界に飛び込んできましたが、教育面に関して芦刃物製作所では非常に親切な指導をしてもらっています。

刃物の世界とは全く縁のなかった私が芦刃物に入社して右も左もわからなかった頃、先輩方が1から丁寧に仕事を教えてくれました。

それはいまでも変わらず、どうしてもうまくいかないときにアドバイスを求めると、自分では気が付かなかったコツを教わることが多々あります。


しかし、ものづくりの仕事というのは結局のところ自分の感覚をどれだけ慣れさせるかということもあって、教えてもらったことを実践してもすぐにうまくいくわけではありません。

そこには熟練者と非熟練者が自分でも気が付いていない微妙な力加減の差であったり、体の動かし方、姿勢の違いというものがあると思っています。

なので、今回5人の職人の動きをデータ化することによっていままで気が付かなかったわずかな違いを見ることができることを期待しています。


しかし、人の動きをデータ化するということは、そのデータをもとにロボットがそっくりそのまま同じことができるようになるのでは…なんていう想像をしてしまいます。

近い将来、人間国宝や伝統工芸士といった超一流の職人の技術を搭載したロボットが現れる日が来るかもしれません!

そんなとき、我々人間にしかできないこと、作れないものは何か…と自分に問いかけながら日々精進していきたいものです。

何はともあれ、計測結果が我々に結果が届くのはまだ先になりそうなので楽しみに待ちたいと思います。

芦刃物製作所のさらなる進化にご期待ください^^

(芦刃物 ホリバ)




2017/03/13  Comments(3) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(6)〜焼き入れをしています(17/03/06)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


今日は朝から細長〜い工場の一番奥で包丁の焼き入れという作業をしています。

焼き入れとは、簡単に言うと包丁を硬くして、ものが切れるようにする作業です。

そもそも包丁の材料は「鋼(ハガネ)」といわれる金属の板なのですが、焼き入れをする前は手で曲げられる程度の硬さしかありません。

そのままでは刃を付けてもすぐに切れ味が落ちてしまうため、硬くして切れるようにしなければいけないのです。

そのために、一度火の中に入れて真っ赤にした後、水や油で急激に冷やす「焼き入れ」という作業をするのです。

なぜ焼き入れをすると硬くなるのかというと…かなり専門的な話になってしまうのでそれはまた次の機会に。笑


何はともあれこの焼き入れという作業、1000度近い火の前で作業をするためかなり体力を使います。

そして、包丁の大きさや素材によって火の中に入れる時間も変わるので同時に神経も使う大変な作業なのです。

火なくして包丁作りは成り立ちません。

はたから見たら単純な作業をしているように見えるかもしれませんが、火と向き合い、火を知り、火を操ることができて初めて一人前の鍛冶屋になれるのだと思います。


芦刃物では一度に約200〜300丁の包丁を焼き入れするのですが、月に2・3回程度しか焼き入れは行われないのでなかなかお目にかかることはないと思います。

もし見学に来られた際に運よく焼き入れを見ることができたら、“鋼の板”から“包丁”に生まれ変わるその様子をじっくりとご覧ください^^

(芦刃物ホリバ)





2017/03/06  Comments(4) | Trackback(0)

芦刃物あれこれ(5)〜「Journeyman Blacksmith」 (09/04/23)

カテゴリー名:”芦刃物あれこれ”


2007年、夏の暑さがまだまだ残る9月のある日、彼は芦刃物にやって来た。

背はスラっと高く、髪はブロンズヘアー、瞳はブラウン。少しシャイだけど23歳とは思えない落ち着きを見せる彼は、米国のニューメキシコ州サンタフェから遥々、大阪は堺へやって来たのだ。

彼の名は"Shehan Prull"(シハン・プルール)。
肩書きは"Journeyman Blacksmith"、人呼んで「さすらいの鍛冶職人」だ。


日本へやって来たのは刃物の勉強のためである。
日本の刃物といえば、刀鍛冶や包丁鍛冶、鋏鍛冶など多種多様で世界的にも有名である。

彼は12歳の頃より、有名な鍛鉄作家の下修行を積んでおり、鍛鉄に関しては既に素晴らしい技術を持っていたので、今日までの日本滞在約一年半、刃物の勉強の側ら、本業である鍛鉄の作品も数多く製作した。

その技術とセンスの高さから各方面より鍛鉄製作を依頼され、しばしば刃物修行の時間が取れないこともあったが、その飲み込みの早さから着々と刃物に関する技術を会得、沢山の刃物も製作していった。

彼は”ナイスガイ”そのものであった。
来日して短期間であるにもかかわらず、多くの友人が出来たことでも分かる。なんと言うか、日本人より日本人だったりするのだ。頼まれたり、誘われたりすると「No」と言えない米国人なのだった。


そんな彼が一昨日、日本を発った。
一度帰国して、次は英国をさすらうのだ。

思えば彼にはいろいろと教えられた。
鍛鉄の技術はもちろん、それ以外に勤勉さ(ペラペラの日本語は独学!)、何にでも好奇心、向上心を持って挑む姿勢、型にとらわれず自由な発想を楽しむこと・・・。そして日本の文化をとても愛していた。

何だか日本の良さを思い出させてくれるような米国人でした。そんな彼の素敵な鍛鉄作品、当工場や堺刃物ミュージアムで見ることが出来ます。一度、機会があったら見ていただけたら幸いです。

今回久しぶりとなる「芦刃物あれこれ」は、芦刃物の歴史に大きな足跡を残した「さすらいの鍛冶職人」をご紹介しました。


最後に一言。「ありがとうシハン」。(芦刃物高田)


photo: Shehan Prull作・芦刃物製作所の包丁看板



2009/04/23  Comments(19472) | Trackback(0)